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一張一弛

一張一弛

「人は『一張一弛』が御座なく候ば続き申さずものなるに、西下は『張』ばかりで『弛』ということはあらせられぬ……あれでは気根が続きそうもない」。

 江戸時代・寛政の改革を主導した老中首座・松平定信に対し根岸鎮衛(当時・勘定奉行のち南町奉行)が評した言葉である(よしの冊子)。

 現在は世界中が新型コロナウイルスの蔓延により「張」ばかりが強いられる状況となっている。日本でも「緊急事態宣言」が発出され、不急不要の外出自粛、小売り・飲食業はじめ経済活動はほとんどの分野で営業自粛となり、スポーツ・音楽などのイベントも開催自粛となっている。学校は休校、公共施設も閉鎖、公園すら使用制限とこれまで経験したことがない緊張を強いられている。最も緊張を強いられているのは医療関係者で、まさに生き死にの現場での緊張が如何ばかりであるかは想像を絶する。

 それに比べれば、感染するかもしれない通勤、リモートによる在宅勤務、在宅学習など我慢しうる緊張かもしれない。しかし、日常生活が強制的に変化を強いられることは個々人にとっては、ストレスである。先が見えないことが、余計に緊張を増幅させる。

 こうした時こそ「一張一弛」、いかに「張」の状態から「弛」を見つけるかが重要であろう。「張」ばかりの状態が続くわけはない。

 

  2020/04/16  飯田 善則
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