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喫茶店と煙草

喫茶店と煙草

      

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▼町歩きの時の一休みは、喫茶店でコーヒーを飲みながらの一服である。それも、個人経営のいわゆる昔ながらの「喫茶店」がいい。なにしろ、爺さん婆さんの家族経営で、分煙とか禁煙とかいわずに最初から灰皿が用意してある店が多いからだ。しかも、サイフォンで淹れてくれたり、ドリップでストレートコーヒーを飲ませてくれたりと、サービスも細やかだったりする。しかし、ちょっとした駅の中や近く、あるいは大型商業施設は「スタバ」や「ドトール」「タリーズ」といったチェーン店が席捲し、昔ながらの「喫茶店」はどんどん姿を消している。チェーン店では、煙草といえば分煙席か禁煙、コーヒーの値段は安いがお世辞にもうまいとはいえず、テーブル、椅子も回転率を優先したようなしつらえである。こうした店ではコーヒーは注文しない。「カフェラッテ」などと舌を噛みそうな品を頼み、喫煙席で煙草2~3本吸って一休みしたらそそくさと店を出る。

▼コーヒー・チェーン店は駅中、駅近と決まっているが、都内でもこうしたチェーン店がない駅も多い。先日も都内の下町を仕事がてら歩き回って、「さて、一服」となったが、「駅力」があまりないせいか、駅の周りにはチェーン店もない。こうなると、商店街を隅々まで探し回ることなる。まあ、半径500㍍も探し回ると何かしらのコーヒーを飲ませる店が見つかる。ここでも、三番目の商店街の一角に喫茶店を見つけた。店は案の定、爺さん婆さんにアルバイトのおばちゃんといった陣容で、客席は4人掛けのテーブルが10席ほど、一膳飯の食堂といった趣だが、妙に落ち着く。新聞の取り置きからスポーツ紙を引き出し、煙草をくゆらせながら目を通し、ゆったりした気分で出てきた。コーヒー代は470円。

​▼こうした喫茶店も商店街の衰退、高齢化の波と後継者不足でますます消えてゆくのだろう。それでなくとも、都心に近い喫茶店では”禁煙”にする店が増えている。以前入った時は、喫煙ができたが、最近、立ち寄ってみたらコーヒーを注文後に「灰皿ください」と言ったら「禁煙になりました」ときた。嫌煙派全盛の時代で、喫煙派は肩身が狭いが、これで三軒目だ。江戸時代も「博奕禁止令」などと並んで、健康に良くないとの理由で「煙草禁止令」が頻繁に出されたが、これも時代なのだろう。そのうち、煙草も喫茶店も姿を消す日が来るかもしれない。

  2017/04/08  飯田 善則
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