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小石川M、購入予定者の契約解除

小石川M、購入予定者の契約解除

▼11月14日付け既報の「ル・サンク小石川後楽園」(107戸)の東京都建築審査会による建築確認取消し採決に​伴い、事業主側のNIPPO、神鋼不動産など関係者は7日、契約者に対する契約解除説明会を開いた。マスコミ報道はもっぱら契約者の「怒りの声」を取り上げていたが、完成間近で完売しているマンションの建築確認取消しという前代未聞の事態の収拾は簡単ではない。
 都建築審査会の建築確認取消しの理由は①二方向避難が確保されていない②地盤面の算定に誤りがある、の2点で、いずれも建築確認許可取得時点で誤りがあったということになる。設計は日建ハウジングシステム、確認処分は民間の確認検査機関・都市居住評価センターが行っている。避難経路としては地階にある駐車場面を避難階としているが、傾斜地であるため地上に避難するには約2.5mのスロープを登らねばならず、避難路とは認められないとしている。また、地盤面の算定に誤りがあり、日影に問題がある(日影規制をクリアできていない)としている。

▼同物件に関しては2003年の用地取得以降、近隣住民の建設反対運動との歴史であり、2007年6月にも、問題となっている前面道路(通称・堀坂)の道路幅の問題などで都建築審査会により確認取消しの採決を受けている。開発行為によりこうした問題をクリアしてのプロジェクト化であったが、再び近隣住民の審査請求により確認取消しの事態に至った。購入予定者には、いかに怒られようと契約解除は避けられない。
 
▼問題は、設計、建築確認そのものの信頼性が揺らいだことと、今後、同物件をいかに処理していくかであろう。道路の改修はすでに終え、文京区は供用開始を決定している。しかも、文京区は2014年3月に当該地域の絶対高さを22mとする都市計画を策定、「ル・サンク小石川後楽園」の高さは26.896mなので、建て替えるにしても市場性があるかは疑問である。この紛争の間には行政も斡旋、調停という形でかかわっている。確認取消しの採決が出たからと言って、おいそれと「解体」「再建築」とはいくまい。
 事業主側の対応にもよるが、混乱はまだまだ続くであろう。
 
 
 
 


 


 
 

  2015/12/08  飯田 善則
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