新型コロナウイルスが世界中に拡散、社会、経済活動を混乱に陥れている。先行きが見えないだけに、不安心理だけが増大している。人・物の移動が制限され、観光、外食産業、スポーツ・音楽などの集団的イベントなど三次産業に多大な影響を与えている。オリンピックの開催すら不透明な状況となっている。インバウンドをあてにしたホテル・旅館、デパートなどの小売業への打撃は計り知れない。
不動産業はリーマンショックほどの激震が走ることはないが、住宅産業にも少なからぬ影響はでる。景気停滞、行動制限により消費者心理は落ち込み、ただでさえ不況色が漂っているマンション・戸建てのさらなる売れ行き減速は避けられない。設備機器の調達難から建築はスケジュールが狂い、消費者マインドの低下で販売も苦戦は避けられない。今や大手独占の市場だけに、値崩れ等は考えにくいが、中堅・中小デベロッパーにとっては経営危機に陥るところも予想される。株価下落で投資需要、高額物件・タワー需要は落ち込み、インバウンド需要も減少する。マンション、戸建てとも販売時期の見直し、着工延期などの対応が必要になろう。
先行きの見えない混乱、不安に経済的側面から敏感に反応するのは株価である。新型コロナウイルスが中国発で発生し世界中にばらまかれると知るや、世界の株価は一斉に暴落した。世界的に景気が悪化しその影響がどの程度か不明だからにほかならない。これまでにもショックにより株価が暴落、底打ちまで景気は悪化の一途をたどった。
不動産業界に大打撃をもたらした世界的ショックといえば、昭和40年代後半の第1次、昭和50年代半ばの第2次オイルショック、直近では2008年のリーマンショックがある。第1次オイルショック時にはトイレットペーパーが市場から消えるという、現在のマスク、トイレットペーパー騒動と同様のことが起こった。第1次オイルショックでは初めて地価が下落し「土地神話の崩壊」と騒がれ、第2次オイルショック時には不動産不況は深刻化した。記憶に新しいのは2008年9月の「リーマンショック」で、サブプライムローンなる格付けの低い住宅ローンをまぜこぜにした債権を世界中にばらまきリーマン・ブラザーズが倒産、世界経済を不安と混乱に陥れた。経済の血液・金融機関を直撃しただけに、不動産業界には「バブル崩壊以上」とも言われる衝撃をもたらし、経営危機に陥る企業が相次いだ。
リーマンショックではダウがリーマン破綻前の14900$台から2009年3月6日の最安値6469$まで、日経平均も12200円台から3月10日の7054円まで6か月にわたり40%超下落した。発生当初の1か月は投機と不安心理せめぎあいで乱高下を繰り返し、その後、気配を切り下げている。現在がまさに乱高下の状況で、日経平均は2月21日の23386円から2月28日には21142円へと9.59%下落、ダウは2月20日の29219$から28日には24681$へと15.5%下落している。株価的には新型コロナ騒動はまだ序章とみているのである。これがいつ底を打つかで世界経済、日本経済の行方を占う指標の役割を果たす。感染症学的知見が示され患者数が世界的に減少傾向を示せば一気に株価も上昇に転じ、社会的混乱もおさまる。
現在は観光業、ホテル業、デパート業界、外食産業などのダメージが大きいが、サプライチェーンとしての中国の状況によっては製造業にもダメージが及ぶ。さらに長引けば金融機関にも飛び火しかねない。そうなれば、不動産業も多少のダメージで済むとばかりは言っていられない。
コロナウイルスの抑え込みに失敗すれば、オリンピックの開催すら危ぶまれ、日本にとっては、景気の命運を握るといっても過言ではない。

